満月が光り輝く夜には、なにか特別なことが起こるのでは。エッチくない・・。
そんなことを少しばかり期待してみても現実は淡白なものだ。
少なくとも人にとっては。
月の光が冷たい岩陰を映す、この首切り墓場では毎月恒例の
運動会が始まる。妖怪達による運動会が。
アオコーナー・・今月は・・ラットマン・・
アカコーナー・・レスリングの月らしい・・キャットガール・・
レフリーの声に従い、青、赤のコーナーから選手が中央に歩み寄る。
アオコーナーからはこ汚い痩身の男。ねずみ色したローブに身を包んだ
そいつはアカコーナーからやってきたボンテージの女に向かっていきなり
屁をこいた。
「あばずれが!てめえなんぞ俺の屁の前じゃただの雌猫。せいぜい
鼻息荒くよがってな。」
その口上が終わるや否やボンテージの女が掴み掛かる。
「上等よ!アンタが逝っちまうが早いかあたしが逝っちまうが早いか
勝負!」
女は不敵な笑みを浮かべたまま男の首をつかむとそのまま押し倒した。
レフリーがすかさず止める。
「止めるんだ猫娘、ちゃんと入ってないじゃないか!!」
「あ、そうだった、つい頭に血が上って・・。」
男は息をしてなかった。
「反則!アカコーナーキャットガール反則負け!!」
怒張した男の剣が所在無さげにびくびくと揺れていた。