私は間違っているのかもしれない。
ロアーヌの名家に生まれた私は子供の頃からこの方を尊敬し憧れの念を抱いていた。
それは幼な心に芽生えた愛というものが根底に存在していたのかもしれない。
だから、十五の時、剣技の腕と性格を見込まれモニカ様の近従に命じられた時、私はその
使命の重さを忘れ無邪気にも内心歓喜した。
あれから数年、私はモニカ様の侍女兼ボディーガード、先に生きる女として守り、助言し、
そばにお仕えしてきた。
それはこの方へのアピールだった。
甘い恋心。
多くを望まない、声すらもいらない、ただ一人の女として見てさえいてくれればよかった。
そしてその想いは叶った。
一人の部下としてしか見てくれなかったこの方が求めたのだ。
私は知った。
一国の領主にして、市民から「名君」と呼ばれるこの方も、ただ特別な存在である前に一
人の男なのだという事を。
嬉しかった。
領主として内政、外交、側近への権威の確立の為、常に沈着冷静で完全主義を突き通し、
笑顔一つすら浮かべず、自らの出生の流れを付け込まれまいと、必死に政事(まつりごと)
をするその姿には近寄りがたいものすら感じた。
私はせめて少しでもこの方、ミカエル・アウスバッハ・フォン・ロアーヌ様の救いになれ
ばと必死になってお仕えしていた。
いや、本当はこの方が唯一心を開かれる妹君であるモニカ様のように、私にも心を許して
もらいたかったのだ。
だからミカエル様が私を求めてきた時、私は喜んで受け入れた。
決して表ざたになってはいけない、主人と部下の夜の関係だ。
私は理性もプライドも地位も考えず、そう、男と女で割り切る領域で受け入れたのだ。
そこに愛や欲望が同列で存在しているかなどわからない。
しかしこれだけは確信をもって言える。私は私を一人の女として考え、ミカエル様を受け
入れたと。
ミカエル様はほとんどなにも何も話してはくださらなかった。だが私達は、少なくとも私
は、体を交合わせる事により言葉以上に語り合っているつもりだった。
だが、それは自分の一方的なものだという事を私は気づきはじめてしまった。
唇を合わせ、唾液を絡ませ、舌が交じわる時も、私の女陰にミカエル様の分身が入ってき
た時も、何も言わず自らの精を膣内に放出した瞬間も、ミカエル様は私を見ているのでは
ない。
誰か別の者を見ていると。
そして、その人物が妹君であるモニカ様だと確信した頃、ミカエル様の私に対する行動は
ただ単に性欲を発散する行為へと化していた。
月明かりが窓から射す中、ミカエルの前でカタリナは美しい裸身を全てさらしていた。
普段から剣技の修練を欠かさないカタリナの体は、そのラインは一切の無駄が無い太刀の
ように、その肌は透き通って見えるかと思うほどに白い。
一部が徐々に赤みを帯びていき、それに反応し洩らすかのようにあえぎ声が出る。
乱れた髪の隙間から除く瞳が、はかなげそうにミカエルを見つめていた。
「異国の文献を元にしたものだが、どうだ?」
カタリナの全身に食い込むロープを見ながら言った。
柔らかなバストをしぼり上げるように緊縛し、さらに横にバストを押し潰すかのようにロ
ープをかけ、それによりひしゃげた乳房が変形し、それらが胸の大きさを目立たせると同
時に恥辱感を与える。
ミカエルはカタリナをつるし上げているロープをグッと引いた。
「クウウッ・・・・・・」
声を殺し必死に耐えるが、ロープがすれ、尖り出した乳房の先端はコリッと突起し、横に
流しているロープをずらした。
今度は不意に握っていたロープを放す。
「はううっ・・・・・・」
先ほどとは違う声を洩らす。
ロープは股間の部分の縛り方も、もちろん重要だ。
文献によれば、まず、観賞用としては、ロープを思いっきり食い込ませてやった方がいい
とある。
「あっ、敏感な部分がこすれて・・・・・・」
今出せる精一杯の声でカタリナが言う。
荒いロープによる過敏な『クリトリス』への刺激は強烈に違いない。
ロープが割れ目にめり込み、ヴィギナーとアヌス、二つの穴の入口を擦り上げているのだ。
「・・・ずいぶん垂れてきているな」
きつく縛り上げられ、ヴィギナーが濡れ、大量の愛液が溢れ出し、食い込んでいるロープ
に染み込み、その滑りをよくする。
カタリナは頬を赤く染めながらミカエルに必死に訴えかけた。
ロープの摩擦感がダイレクトに伝わり、自分から腰を振り乱してしまいたくなる。
しかし縛られ、しかも吊るされているため、自分から好きなように腰を振りまくることが
できず、そのもどかしさと切なさをカタリナは目線から伝える。
何度も、決して口にはしないものの、ミカエルの顔と股間を見て訴えを理解させようとす
る。
ミカエルは当然カタリナがこのようになるように仕向けたのだから、彼女の言いたい事は
理解していた。しかし、あえて反応を見せずカタリナをじっと見つめた。
カタリナの瞳から徐々に涙があふれ出そうになり、口元が震える。
口に出すべきか、しかしそれは自分のプライドが許さない。
ギリギリの状態でカタリナは自分と葛藤していた。
それは、普段の高貴で忠誠心に満ちた剣士としての彼女からは想像できないほどのもので
あり、今の彼女は幼い少女が懸命にすがっているようにしか見えなかった。
「どうした?・・・何か言いたいのか?」
わざと聞いた。
カタリナの選択の時間を狭めさせるためだ。
「・・・く・・・ください。・・・お願いします。ミカエル様、早く・・・っださい。そうでなければ
・・・わ、わたし・・・・・・・」
早かった。
酷な判断ほど追い込まれればあっさりと決めてしまうものなのだ。
「・・・いいだろう」
ミカエルは腰に下げている剣で、カタリナを吊るしているロープを一太刀で切った。
自分の愛液で満ちた床にその体は落ちる。
剣を収めるミカエルの元へカタリナは這って近づく。
そしてミカエルの前までたどり着くと、カタリナは目的のものを取り出した。
驚嘆と歓喜の眼差しでミカエルの分身を見つめ、その可憐な唇で股間の分身を愛撫し始め
た。
無表情のミカエルであったが、彼の分身が一回大きく膨らみ反応を示すと、カタリナの忙
しく動き回る生暖かい舌先が、愛しげに分身の先を突いた。
その感覚に、ミカエルの分身はカタリナの口の中で幾度となく脈動する。
「んぐ・・・・・・うふっ、ミカエル様の鼓動が伝わってくるみたいです」
ミカエルはやはり反応しない。きっと別の者を見ているのだろう。
『ミカエル様・・・・・・』わかってはいる。
それを理解し、それでいて自分はここにいるのだ。
しかし女としてはやはり悲しい想いが募る。
カタリナは再びミカエルの分身に目をやった。
するとミカエルは言葉を発するかわりにカタリナの頭を優しく撫でた。
カタリナはそうされたのが嬉しく、ミカエルの分身を喉の奥まで誘い込み、甘美な快感を
増倍させる。
その間も舌は休みない。分身の竿をねぶりこむような動きで追い込み、思い出したかのよ
うに、ミカエルを覗いては瞳だけで満面の笑みを見せる。
「んぐぅ、あふぅ・・・はぁはぁ、すごいです・・・・・・こんなにたくましくなって」
はちきれんばかりにそり立つミカエルの分身に、カタリナは目を綻ばす。
微かではあるが、股間から蜜の香りが漂ってきていた。
ミカエルはカタリナの動作を一旦止めさると、立たせ、手を伸ばす。その場所は『クチュ
ッ』という水音と共に指が容易に膣内に入るほど、潤いで満ちていた。
「おわかりになりますか?ああっ、わかるでしょ・・・・・・私は恥ずかしいくらいに濡れてい
るのです。・・・私はミカエル様を求めて濡れているのを」
女陰に忍び込んだミカエルの指の動きに合わせ、自然とカタリナの腰も揺れる。
口から離れた分身を今度は手で愛撫する。
ミカエルの分身から離れずにそうするさまは、月明かり薄っすらと照らしだされ、隠微で
ありそれでいて、また妖艶な美しさを醸し出していた。
「ああっ・・・・・・ミカエル様、私・・・もう・・・もう我慢できませんっ!」
カタリナがミカエルの顔を見上げて訴える。
するとミカエルはカタリナの女陰に伸ばしていた手を引いた。
それは、駄目だという合図だった。
「・・・・・・わかりました。我慢します」
カタリナは再び顔をミカエルの分身へと近づけた。
舌先で尿道口のあたりを突き回し、カリの首の溝にも唾液を流し込む。
そして、亀頭の裏側の皮のつなぎ目から竿の裏筋をはたくように舌を滑らせ、最後に皺の
寄った睾丸部へとたどり着く。
「これって、まるでクルミみたいです。私がリスだったらカリカリってしてしまいそう
・・・」
「間違っても噛んでくれるなよ」
ミカエルが一言、数少ない言葉を発する度に、それこそ呼吸の声一つを耳にするだけで、
カタリナは自らの陰部から愛液が滴り落ちるのを感じた。
「・・・はい。最善を尽くします」
カタリナは睾丸に歯を立てないよう注意し、そこに生えている陰毛を舌で撫でつけるよう
にしながら舐めまくった。皺の線を一本一本舌先でなぞる。
カタリナは片手を睾丸の下に射し込み、その重さを手に感じ取った。
この中にある精子には、一人の人間が、己の子孫を残すという役割以外に、この国の多く
の人々の生死を左右する役目もある。
そう思うと手に伝わる感触以上の重みを感じ、そして不意に握り潰してみたい衝動に駆ら
れる。
もう片方の手はリズミカルに竿をしごいていた。
しまいには、カタリナは睾丸を一つずつ口の中に含み、下でコロコロとモミ転がす。
金剛石の意思を持つ女剣士は、今やグロティスクに勃起したペニスを口にし、本能に順応
し、従っている。
それは人の女としてではなく、生物のメスとしての本能によるものだ。
カタリナは急に片手を床についた。息が上がり体が小刻みに震える。
限界が近づいている。
そう悟り、カタリナは気力を振り絞り、ミカエルへの奉仕に力を入れる。
手首のスナップをきかせて、ミカエルのペニスをしごき始め、亀頭部分から根元まで一気
に口に含み、いやらしい音をたてながら吸い立てた、それを繰り返す。
回を重ねるごとに激しさを増し、身も心も吸い取ろうかとするその吸引力がなんともなま
めかしい。
八度目の時、突如ミカエルの分身は今まで以上に膨れ上がると、カタリナの口の中に全て
を解き放ってしまった。
ドクドクと濃厚な精液をカタリナの喉に注ぎ込む。
『口の中で元気に泳いでいます・・・』
カタリナは放出された大量の精子を、口に溜めてから、喉を鳴らして飲み干した。
そして、最後に尿道とペニスに付着している精液を丁寧に吸い取ると、ようやくため息を
ついた。
「・・・美味しく頂きました」
それは欲するものを訴えるために、ミカエルを見る口実の言葉ではあった部分が大きいが
本心でもあった。
「・・・・・・好きにするがいいだろう」
流れる髪をかきあげ、カタリナはヴィギナーとアヌスをミカエルに差し出すように突き出
す。
「あぁぁぁぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・ゆ・・・ゆっくり、ひいっ!・・・深くまで、届いてるぅぅ・・・!」
カタリナの動きが止まったのは、ミカエルの分身を納めた瞬間だけだった。
すぐに体は悩ましく切なげに舞い始める。
「あはぁ、ミ・・・ミカエル・・・様。はうっ・・・こんなのって・・・・・・駄目ぇ、腰が・・・止まらな
いのぉ・・・私の中で一杯・・・あぁっ!!」
体の動きと連動して、左右上下に揺れるカタリナの乳房を、ミカエルは後ろから両手で鷲
掴みにし、尖っている乳首同士を擦り合わせる。
カタリナは目に涙を浮かべ反り返るように反応する。
その刺激に応えてミカエルの分身を包み込むカタリナの女陰が、入口から奥まで切れ目な
く締め付けてきて、ミカエルに微かな表情の変化をあたえる。
「あぁ、ミカエル様・・・・・・・わたし、も・・・もうすぐ・・・・・・・はぁぁん!」
絶頂が近いのを感じて、カタリナは自らの指を結合部へと運び、その濡れた部分を挟み込
んだ。腫れ上がった陰芯にも一緒に刺激を与える。
ミカエルは下からカタリナの子宮の扉に向かって腰を突き上げる。
「モニカ・・・」小さくその言葉を何度も繰り返しながら。
高まりのため、美しいカタリナの眉間にしわが刻まれ、唇も力強く引きしめられていく。
「・・・・・限界だ・・・出るぞ」
「い・・・嫌っ!まって・・・まってください。わ・・・私として・・・私を見てきてください!!」
カタリナに先ほどからのミカエルの言葉は聞こえてはいなかった。
感じ取ったというべきだろうか。
全てを知っている彼女の素直な言葉だった。
一瞬でいいから全てをカタリナ・ラウランに向けてほしいという。
「モニカ・・・」
その声だけははっきりと聞こえた。
ミカエルはやはりカタリナとは口にしてはくれなかってた。
カタリナの瞳から一筋の涙が頬を伝わり床ではじけた。
絶望を感じたものの、体は芯から湧いてる感情とは別のただの女としての悦びという反応
で、カタリナの腰はがくがくと震えだし、その振動は女陰の肉壁のわななきとなってミカ
エルの分身に直に伝え、最後の膨張を誘い精の放出を促した。
「くっ・・・出るぞ、動きを止めろ」
ミカエルの言葉に逆らい、カタリナはミカエルの分身をきつく締め付け激しく動いた。
そして汗ばむ喉元を見せつけるように仰け反りながら、カタリナが腰を一瞬くねらせた瞬
間、ミカエルの分身に新たな刺激が走り、カタリナの奥へと熱い精を放った。
子宮の壁に男の精のあたる感触に、カタリナは小刻みに体を震わせると、その場に上半身
が崩れ落ちた。
それでもなお、ミカエルの分身を包む肉壁は最後の一滴までも子宮に送り込もうと、ウェ
ーブを繰り返し奥へと動かす。だが、やがてそれすら無くなると、ミカエルはカタリナの
女陰からペニスを抜いた。それと同時にカタリナの下半身も崩れ、膣内から溢れた白い液
体が股を伝わり床へと流れ出す。
カタリナは失神していた。
カタリナの陰部は五回ほど激しく痙攣し、その度に愛液と精液が混ざった液体をだらしな
く吐き出した。
汗のにじむカタリナのその顔には、満ち足りた穏やかな表情はなかった。
全てを終えたミカエルは、身を整え、カタリナを一瞥するとそのまま部屋を後へとした。
まるで牢獄の赤錆びた扉のような重圧な扉の閉まる音を聞くと、カタリナは体を起こした。
気が付いたのではない。
本当はミカエルがカタリナを一瞥した時から起きていた。
そしてカタリナを写す、透き通ったミカエルのシャークグレイの瞳を、薄目ではっきりと
見ていた。
よろめき立ち、乱れた髪も整えず、陰部から流れる精液を拭くこともなく、乱された裸体
のまま窓へと足を運ぶ。
窓から射し込む月の明かりは美しい一人の女に暗闇の陰影をつけた。
女には、太陽が似合う者と、月の似合う者がいる。
いつから月の女となってしまったのだろうか。
カタリナは、青く光る月に向かい手をかざした。
その瞳に本当は、私は写っていない。
何故、目の前でこんなに想っている私を見てくれないのだろう。
貴方の瞳に写っている私は、まるで雨の中を独り脅えている子犬と同じだ。
私は孤独で、それで怖い。
いつか貴方の肉体すらモニカ様に奪われると思うと、怖くて怖くて仕方がない。
そして、貴方が想いを寄せているモニカ様。
彼女は貴方ではなく私を求めているという事実。
いつかそれが知られてしまった時を考えると。
私は・・・。
私は・・・・・・。
「今日はこのくらいで終わりにしましょう」
モニカは練習用の剣を鞘へと納めた。
「ずいぶん上達なされました。ですがモニカ様、油断は禁物です。常に己より強い敵がい
る事を忘れてはなりません」
「わかってるつもりよ」
モニカは皮で造られた練習用の甲冑を外しながら言った。
「カタリナ、汗もかいたことだし、お風呂に入らない?」
汗により、白い薄絹の服が密着し、モニカの肌を透きとうらせている。
カタリナは少し考え込み、断ろうとしたが、モニカは覗き込むように顔を近づけてきた。
「・・・・そ・・・そうですね。ご一緒させていただきます」
モニカのアイスブロンズの長い髪が、優美に揺れ、カタリナに甘い香水の香りを響かせた。
幻惑すら感じる香り。
今し方まで剣技の訓練をしていたというのに。
カタリナは顔が熱くなるのを感じた。そして、返事をしてしまった。
意思に反する返事を。
「私は剣を武器庫に閉まってきまので、先に行ってください」
「わかったわ。早く来てね」
剣をカタリナに渡すと、モニカは剣技場を後にした。
まだ幼さが残る口元に薄っすらと笑みをこぼしながら・・・・・・。
あとがき
カタリナはジッちゃんの名にかけて犯人を当てられるのか。次回ミカエル、荒野のピザ回
し対決にご期待を!! ・・・・・・・・・倭 薫です。咳き込むとどうして人は結核と言いたがる
のでしょうか。さて、それは置いといて、わたくしのこっち系?小説いかがだったでしょ
うか。なにせ修行中&初こっち系(こっち系って何!!) なのでいたらない点もあったかも
しれません。ひとまず、その点は詫び。ロマサガ3ってやったことなくて想像で書きまし
た。キャライメージに激しく間違いだったら、その点も詫び。元々こっち系小説(だから
こっち系って何!!)自体を読んだ事ないので、書けと取引を持ち込まれた後、本屋へ行っ
て二冊ほど買って本を読んだのですが、主人公は男がセオリーみたいですね。その点から
すでにこの小説異端です。ところで、わたくし的には、この小説は女性も男性も読めるよ
うに書いたつもりなのですが、どうでしたでしょうか? 女も男も責め・責められの欲望
はあるのではと思っていますので・・・・・・。うーん、唐突に、ではまたの機会があったらお
会いしましょう。
2002/11/03
倭 薫
ご意見、ご感想はこのHPへもいいと思いますが、ubcs@geocities.co.jp なら、わたくしに
直接メールが行きます。
注意事項
この作品は、nakata氏に寄贈するものであり、nakata氏及び作者以外が公開することを固く
お断りします。念のため。